北欧インテリアとは、何でしょう?
北欧インテリアに明確な定義はなく、木製家具と雑貨を置いて、北欧「風」と呼んでいるスタイリングも見かけます。以前の私は、木のカラーボックスと観葉植物を置けば「北欧インテリア」になると思っていましたが、これは大きな勘違いでした。
北欧家具・照明を使うと北欧インテリアになる
「北欧家具」の「北欧」とは、デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランドの国を指します。その中でも、デンマークは突出して家具ブランドが多い国です。「北欧家具」といえば、デンマーク※は外せません。
※デンマークの有名ブランド:フリッツ・ハンセン、カールハンセン&サン、PPモブラー、ルイス・ポールセン等、数多くの老舗インテリアブランドがあります。
日本での「北欧風インテリア」を見ると、木製の家具が多く、フィンランドの老舗家具ブランド「Artek」に近い雰囲気を感じます。北欧家具は、スタイリッシュな家具も多く、セブンチェアのようにスチール脚の椅子もあり、ステンレスを取り入れたミニマム・モダン・シンプルなデザインも北欧インテリアの一つです。
スッキリした空間に「北欧家具」を置くと、ものすごく雰囲気が出る
北欧家具は高級に見えません。これは、大きな利点だと思います。高級感のある家具を置くとすると、部屋の内装(壁・床)も同じように高級感のある材質にしないと、家具が浮いてしまいます。天井の高さがないと、圧迫感が出ることもあります。その点、北欧家具は線が細く・雰囲気に溶け込む家具なので、どんな住環境にも合わせやすいです。
この記事では、シンプルやミニマムなインテリアが好きな人にもおすすめしたい、北欧インテリアを作り方をまとめました。
シンプルなインテリアを作る方法
「シンプルなインテリア」は、再現性が高い
様々なテイストのインテリアがありますが、まずは物を減らして、お気に入りの物を足せば、自分らしい雰囲気が完成します。散らかった部屋に、好きな家具や照明を足しても、居心地の良い空間にはなりません。物が多くごちゃごちゃした部屋に家具や照明を取り入れるのも、テイストの相性もあり難しいです。
まずは部屋をシンプルに整え、そこに自分が好きなテイストをプラスしていくと、インテリアが整います。すっきりした部屋は、視覚的にノイズになる物が視界に入らないため、脳が疲れません。
シンプルな部屋を作る方法として、ルール3点を私は意識しています。
- 「もの」は収納8割・見せる2割
- 色数を4色以下に絞る
- 雑貨・小物は収納する
ルール1:「もの」は収納8割・見せる2割
片付かない部屋を見ていてると、単純に部屋に出ている物量が多いからだと感じます。出しっぱなしにしておく物(見せる物)を最小限にすると部屋はすっきりと見えます。
もっとスッキリとしたければ、収納9割・見せる1割でもいいと思いますし、ここまでストイックさは求めないというのでしたら、収納7割・見せる3割でもいいと思います。
見せる物:家具・照明・植物・アート・ラグ・飾りもの・本
隠す物(収納):小物・雑貨・日用品・食料品 など
収納は「買い足さない」ということもポイントです。既存の収納を使い、収納に入りきれないのであれば、物を減らすことも考えないと、無限に物が増え続けてしまいます。どーしても捨てられない思い出の品など、捨てられない物で埋め尽くされている場合は、サマリーポケットに預けるのも手かもしれません。これはあくまで最終手段で、毎月保管費用が発生してしまうので、家の収納に入る程度の物量にすることがおすすめです。

ルール2:色数を4色以下に絞る
色数が少なければ、物が多くても、すっきり見せることができます。物が少なくても、色数が多いと物が多く散らかっているように感じます。
4色は少なすぎると思われるかもしれませんが、無彩色「白」「黒」「灰」色は1色としてカウントします。残り3色好きな色を選ぶと、まとまりが出てきます。
一例として、私は以下の4色で見せる物を選ぶように意識しています。
- 白・黒・灰 ・・・壁・床・照明器具など
- 茶 ・・・扉・木製家具の色
- 青 ・・・小物
- 緑 ・・・観葉植物
ルール3:雑貨・小物は収納する
小さな小物でも、出しっぱなしにしておくと、散らかってみえるものです。面倒でも使わないときは収納するようにすると、探し物がなくなります。特に家族と共有で使う物を決まった場所に収納すると、探し物がなくなります。
このとき収納する場所は、ワンアクションで取り出せる場所にします。2アクション・3アクションになると、取り出すことが面倒になり、出しっぱなしになります。我が家では片手で開けしめができるケースを取り出しやすい場所に置いています。

我が家のリビングで出しっぱなしにしない物は・・・
- テッシュ
視界にないと自然と使う頻度が減るので、病気でない限りは表に出ていません。 - リモコン
使ったらケースに入れるので、リモコンが迷子になることもありません。 - 文具(カッター・はさみ・ペン類)
家族間で共有するものは、一箇所にまとめて過剰に持たないようにしています。 - メジャー
ネットで買い物をする時のマストアイテム。毎日使うので、すぐに取り出せるケースに入れています。
北欧インテリアを作る方法

スッキリした部屋に、北欧ブランドの家具や照明を取り入れていくと、北欧らしいインテリアに近づきます。ここで選ぶ物を北欧家具ではなく、自分の好きなテイストの家具・照明を配置すれば、自分らしいテイストになっていくと思います。
北欧スタイリングの基本の構成要素としては、「照明」「家具」「ラグ」の3つを意識すると、まとまりのあるインテリアを作ることができます。中でも照明は、比較的手頃な価格でありながら、部屋の雰囲気を大きく変える力を持っています。まずは照明から取り入れてみるのもおすすめです。
- 照明:フロアスタンドなど、多灯照明にすることで影ができ、落ち着いた空間になる。
- 家具:北欧インテリアには、北欧の家具ブランドがマストアイテム。
- ラグ:視覚的にゾーンができ、まとまりが生まれる。
照明

天井照明だけでなく「多灯照明」にすると、一気に海外インテリアのような雰囲気が作れます。「多灯照明」とは、複数の種類の照明を複数配置することです。部屋の広さにもよりますが、目安は一部屋に5つ照明を配置したいところです。我が家は、リビング・ダイニングに照明を5つ配置しています。仕事部屋の照明は3つです。
照明の増やし方は、天井照明を消した状態で、明るさが欲しい場所に照明を足していくと、快適に過ごせる明るさになります。照明と一括りにしても器具の種類が豊富にあります。こちらの記事では、器具の種類と調光・調色のことをまとめています。

家具

北欧家具の特徴は、線の細い家具が多いです。家具単体で見ると個性があるように見えて、実際には自己主張が弱く、空間に溶け込む家具が多いと感じています。どのテイストの家具にも、合わせやすいと思います。
北欧インテリアというと「木」のイメージが強いかもしれませんが、スチール脚の家具も多くあります。デンマークの代表的な椅子「セブンチェア」は、スチール脚です。セブンチェアなど、北欧家具のモダンな家具は、他の椅子と組み合わせても違和感ありません。

北欧家具ブランド
以前の私は、木製家具のイメージから北欧家具を避けていました。私が知らなかっただけで、多くのデザイナーと家具ブランドがあり、ブランドにより世界観が異なります。
ブランドのイメージ写真には、そのブランドの雰囲気や世界観がよく表れています。これを見ることで、自分の好みに合うブランドを見つけることができます。
北欧家具は一度に揃えられるような価格帯ではないので、少しずつ揃えています。「一気に」購入するのではなく、少しずつというのはメリットもあり、自分が本当に求めている物に時間をかけて探すことができます。
ここでは、デンマークの老舗家具ブランドをいくつかご紹介します。
- Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
1872年デンマークで創業
アルネ・ヤコブセン(デンマーク)、ポール・ケアホルム(デンマーク)の2大巨頭を筆頭に、現役デザイナーであるセシリエ・マンツ(デンマーク)、ピエロ・リッソーニ(イタリア)など、数々の名作を生み出し続けています。ブランドのテイストは、クラッシック・ミニマリズムなテイストながら、どこか芸術的な温かみを感じるブランドです。
近年はデンマークの照明ブランドである「ライトイヤーズ」がフリッツ・ハンセンの傘下に入ったことにより、照明器具も取り扱いをしています。
ブランドの代表的な家具は、セブンチェア、エッグチェア、PK22 代表的な照明は、カラヴァッジオ
代表的なデザイナーは、アルネ・ヤコブセン、ポール・ケアホルム - CarlHansen&Son(カールハンセン&サン)
1908年デンマークで創業
ハンスJ.ウェグナーを中心とした木製家具を中心に、完全ハンドメイドに囚われず機械加工による家具作りを取り入れたことにより、「リーズナブルな価格で質の高い家具を提供する」理念のもと、家具作りをしています。木製家具だけでなく、近年はステンレススチールの家具も増えてきており、シンプルながら柔らかく、軽やかなテイストのブランドです。
ブランドの代表的な家具は、Yチェア
代表的なデザイナーは、ハンスJ.ウェグナー - Fredericia(フレデリシア)
1911年デンマークで創業
ボーエ・モーエンセンの家具を中心に、現役デザイナーのジャスパー・モリソン(イギリス)、セシリエ・マンツ(デンマーク)、スペースコペンハーゲン(デンマーク)など、名作家具だけでなく新しいデザイナーのプロダクトの提案を続けています。フレデリシアの家具は、純朴でありながら機能性が高く、穏やかな時間が流れるブランドテイストです。
ブランドの代表的な家具は、J39、スパニッシュチェア、ソポークバックソファ
代表的なデザイナーは、ボーエ・モーエンセン、ナナ・ディッツェル - PPモブラー
1953年デンマークで創業
現在は数少ない家具工房のブランドです。ハンスJ.ウェグナーとの協働により、PPモブラーが誕生しました。
私個人としては、家具ブランドの最高峰がPPモブラーと考えています。
ウェグナーの木製家具を中心に展開しており、一つのテーブル・一つの椅子も同じ木から作っています。違う木で合わせると経年変化した時に、色の違い・伸縮が出るためです。ここまで木に対するこだわりの強いブランドは、他のブランドにはありません。一生涯使い続けたい家具を取り揃えているブランドです。
ブランドの代表的な家具は、PP19(パパベア)、ザ・チェア、PP58/68(ファイナルチェア)
代表的なデザイナーは、ハンスJ.ウェグナー - Louis poulsen(ルイス・ポールセン)
1874年デンマークで創業
ポール・ヘニングセン(デンマーク)とアルネ・ヤコブセン(デンマーク)のデザイナーを中心に、過去デザインの復刻としてヴィルヘルム・ラウリッツェン(デンマーク)や現役デザイナーのマッス・オドゴーなど、照明を展開しています。毎年新しいカラーや、期間限定の復刻照明、限定カラーなど、新たな商品開発も盛んに行われています。
現在ルイス・ポールセンは、イタリアの照明ブランドFLOSと同じグループ会社でもあります。
北欧家具と照明を合わせる時には、ルイス・ポールセンの照明はもちろん、FLOSの照明も相性抜群です。
ブランドの代表的な照明は、PH5、AJフロア
代表的なデザイナーは、ポール・ヘニングセン、アルネ・ヤコブセン - LE KLINT(レ・クリント)
1943年デンマークで創業
日本の折り紙から着想を得たプリーツシェードが特徴。元々は、クリント家の趣味で始めたプリーツシェードでしたが、創業者のターエ・クリントがビジネスにしたことがきっかけで、レ・クリントが誕生しました。ターエの弟コーア・クリントがデザインしたシェードを中心に、デンマーク出身のデザイナーに囚われず、現役デザイナーと多くのプロダクトをリリースしています。(コーア・クリントは、「リ・デザイン」を提唱した、デンマークの家具デザインの父と呼ばれる建築家・家具デザイナーです)
プリーツシェードは、1枚のシートを手で折り上げるハンドメイド作品です。プリーツ・シェードならではのクラッシックなイメージと、温かい光が特徴です。
ブランドの代表的な照明は、
代表的なデザイナーは、コーア・クリント(Model101)
ラグ

「ラグ」は取り入れたいところです。ラグがあると視覚的に「ゾーン」ができます。ゾーンができることで区切られ、まとまりがでます。ラグを置きたいゾーンは、リビングのソファ・イージチェアなど、くつろぐスペースです。部屋に仕切りがないけど、視覚的に区切りたいというエリアに、ラグを置くこともおすすめです。
「ラグ」にネガティブなイメージを持っている人が多いと感じています。私自身、ラグを詳しく知る前までは、洗えないから不衛生・夏は暑そう・ホコリが出そうとマイナスなイメージを持っていました。こちらは全くの勘違いでした。ラグがある方が清潔に保つことができます。化学繊維のラグではなく、「ウール」のラグを選ぶことがポイントです。
ウールのラグには、ホコリがラグに集まります。ラグに掃除機をかければ、部屋全体にホコリが舞わないので、掃除が楽になります。日常の手入れは、掃除機をかけるだけ。ウールは天然の油分を含み、水をはじくため、汚れが浸透しにくい素材です。飲み物をこぼした時に拭く程度です。専門店でのクリーニングも可能です。
- 床の保護、防音
- 夏は涼しく・冬は温かい
ウールは天然のエアコンと呼ばれるくらい、機能性が高い素材です。繊維の間に空気を多く含むため、断熱性が高く、冬は温かく夏は涼しい特性があります。放湿性もあるため、夏もさらさらです。 - ホコリの舞い上がりを防ぐ
ラグなしの室内に比べ、ハウスダストの舞い上がりは1/8といわれています。
天然素材であるウール・綿・麻のラグは、静電気も起きません。 - 部屋がまとまる
視覚的にゾーンが区切られることで、家具を際出せ空間にまとまりがでます。
北欧ブランドでおすすめのラグメーカーは、カスタール(スウェーデン)とクヴァドラ(デンマーク)です。
- KASTHALL(カスタール)
1889年スウェーデンで創業
カスタールの代表的なラグは「ウーブンラグ」と呼ばれる「平織り」のラグです。厚みがラグを想像しがちですが(厚みがあるものは「タフテッドラグ」が多く、製法が異なります。カスタールも、「タフテッドラグ」ははラインナップされています。)、平織りのラグは薄さが特徴です。カスタールのラグは素材に、ウールとリネンを使うことで、光に差し掛かったときラグに表情が出ます。ニュージーランドウールと、ノルマンディーリネンの最高品質の素材を用いています。
ラグで毛足がなく、厚みの薄いラグは「カスタール」がおすすめです。平織りのラグは、椅子の出し入れの際に、ラグの毛足が邪魔になりません。個人的には、毛足の長い「ハンドタフテッドラグ」もカスタールで揃えたいと思っています。
代表的なデザイナーは、セシリエ・マンツ(ランドスケイブ) - Kvadrat(クヴァドラ)
1968年デンマークで創業
クヴァドラはラグだけでなく、家具の張地(フリッツ・ハンセン、カール・ハンセン、フレデリシア、PPモブラーなどデンマーク家具の張地に使われています)・カーテンも展開しているブランドです。クヴァドラのウール生地は最高品質と言われており、30年以上前のヴィンテージの家具がクヴァドラの張地であれば、綺麗な状態であることが多いです。クヴァドラのラグは100%ニュージーランドウールのラグが多く、薄手のラグに綿・麻(リネン)を用いているラグもあります。クヴァドラのラグは、発色がよく、10年経過しても色褪せない素材であり、機能面・耐久面を兼ね備えた生地が特徴です。椅子の張地に使われることが多いということからも、摩耗にも強く、ものすごく耐久性が高い(「マーチンデール」と呼ばれる摩耗試験もクヴァドラでは行っています)と言えます。
代表的なデザイナーは、ナナ・ディッツェル(ハリンダル65)、ラフ・シモンズ
まとめ
北欧インテリアを作るには、北欧ブランドの家具、照明、ラグを取り入れることです。
北欧ブランドは高価なものが多いですが、一生使えることを考えると、結果的にコストパフォーマンスが良いと感じています。家具・照明を替えると「リノベーション」をしたくらいにインパクトがあります。また、リノベーションの費用と比べると、北欧家具はリーズナブルだと感じています。一生物どころか、子の代・孫の代と、二生・三生と100年使える家具です。
お気に入りの北欧家具ブランドを見つけて、好きなアイテムを少しずつ集めていくのも楽しみの一つです。また、北欧インテリアを作る第一歩として、照明から取り入れてみることをおすすめしています。照明は家具と比べて価格的にも取り入れやすく、生活の質が上がります。
