PK22(フリッツ・ハンセン)デザイン:ポール・ケアホルム レビュー

PK22は、Poul Kjærholm(ポール・ケアホルム)がデザインしたラウンジチェアです。(1956年デザイン)
FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)により、作られています。

PK22を実際に使って気づいたこと(座り心地・PK4との比較・他のPKチェアとテーブルとの組み合わせなど)をまとめました。購入した商品は、PK22(リネン/グレー)です。
張り地のリネン(グレー)は限定生産のため、終売しています。

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目次

ポール・ケアホルムの代表作

ポール・ケアホルムがデザインしたイージーチェアは、PK25(1951年)、PK4(1952年)、PK22(1956年)の順にデザインされました。PK22は量産を意識したデザインであり、最も人気が高く、ケアホルムの代表作とされています。

ケアホルムはステンレススチールを早くから取り入れたデンマークのデザイナーで、一般的に知られている「北欧」デザインとは異なる究極のミニマリズムです。

PK22の種類と特徴

レザー・キャンバス・籐(ラタン)の3種類です。

3種類を展示品で座ってみました。レザーとキャンバスでは、座り心地は同じように感じますが、籐は硬く感じました。籐の座り心地と、レザー・キャンバスでは全く異なります。レザーとキャンバスは、最初は強く張っている張り地が、長年座り続けていると座面の張りが徐々にたるみ、座り心地がよくなります。

籐は経年変化の特徴として、徐々に飴色に変わります。座り心地としては、籐よりレザー・キャンバスの方がしなりがあるので、長時間座ったときに疲れないと感じました。

一人でゆっくりするスペースとして、一畳分のスペースがあれば設置できます。
和室にもよく合うチェアで、置き場所を選びません。重さは約11kg(レザー)です。少し動かす程度であれば、一人でも動かせます。

座り心地

座り心地はとても良いです。背中がしなるため、長時間座っても疲れません。ヘッド部分はなく、肩まで背中を預けることができます。薄くクッションもないので、痛そうと思われるかもしれませんが、全く痛さもありません。沈むソファに座るより、骨盤が安定して座れるので、柔らかいソファより長時間座ることができます。

構造

①:フレームが入っていません。座っているときに、膝裏・背中にフレームに当たるということがありません。
②:背もたれを支えるようにフレームが入っており、背もたれがしなり、座り心地がよいです。

PK22の背面です。PK22は脚部とクロスバー・サイドフレームをビスで留めており、このビスは航空機用に開発されたビスで高い強度を持ちます。このビスがあることで、シート下部と上部のフレームバー(写真①)をなくすことができ、快適性と強度を上げることができたとされています。
PK22より前に設計された、PK4・PK25ではビスを使っておらず、シート下部・上部にフレームバーがあります。

同じPKシリーズのPK4(中央)と比べると、PK4は「しなり」がないため、PK22はしなりがあるので座り心地が良いと感じています。PK25は、しなりがあります。

実物をみる・購入するには

フリッツ・ハンセンの取り扱いがある正規販売店または、フリッツ・ハンセンのショールームに展示されています。
ただし、正規販売店の中には、ポール・ケアホルムの取り扱っていない店舗が多いため、事前の確認が必要です。取り扱いのある店舗では、ケアホルムの代表作ですので、レザー・ファブリック・藤のいずれかは、展示されていると思います。ちなみに、PK25、PK20、PK24は、展示されていないことが多く、なかなか実物を見ることができません。

フリッツ・ハンセンの正規販売店(フリッツ・ハンセン公式)

デザインについて

PKのラウンジチェアは、座面が低く、線が細いデザインですので、抜け感ができ、空間が重くなりません。天井が低い日本住宅にも、合わせやすいデザインです。写真の天井高さは250cmです。
テーブル:Niveau coffee tableΦ45
照明:AJフロア

PK22の脚が床(塩化ビニール)を傷つける

PK22の下にはラグを敷いています。ラグを敷いている理由は、アクセントとしての意図もありますが、一番の理由はPK22の脚が床を傷つけるのを防ぐためです。傷がついた床は塩化ビニール素材です。インテリアショップで見た時は、無垢材の床の上にPK22が置かれており、床を傷つけていませんでした。床の材質によっては、PK22の脚が床を傷つけることがあるようです。

PK4

PK4は脚の下に、ゴムが入っているので、直接置いても床を傷つけることはありません。

テーブルとの組み合わせ

PK22は座面が低いラウンジチェアです。組み合わせるテーブルは、低いテーブルが使いやすいです。

同PKシリーズの「PK61(コーヒーテーブル)」は、PK22との組み合わせを考えデザインされました。PK61/PK61Aは、テーブルの高さが32cmです。
PK61/PK61A以外のPKシリーズのコーヒーテーブルの仕様も、参考までに記載します。
PK61のテーブルの高さ32cmから考えると、PK63/PK63A(テーブル高さ31cm)・PK65(テーブル高さ38cm)もPK22と合わせやすい高さです。

スクロールできます
製品名PK61PK61APK60PK62PK63/PK63APK65
デザイン年1956年1952年1968年1968年1979年
高さ32cm44cm17cm31cm38cm
横幅80cm120cmΦ105cm80cm180cm/120cm100cm
奥行き80cm120cmΦ105cm27cm60cm100cm

PK61の天板は、ガラス、ストレート、大理石、御影石、ファウスケ大理石の5種類から選べます。
PK61Aは、ガラス、大理石、御影石、ファウスケ大理石の4種類から選べます。

[PK60]は高さが44cmとやや高めなため、PK22とは合わせにくいテーブルです。[PK0A]との組み合わせを考えデザインされたテーブルです。

[PK62]は高さが17cmと低く、[PK20]や[PK24]との組み合わせを考えデザインされたテーブルです。

[PK63]はテーブルの高さが31cm、PK22と合わせやすい高さです。[PK63]はラウンジチェアやソファと組み合わせを考えデザインされたテーブルです。

[PK65]は[PK20]のためにデザインしたテーブルです。テーブル高さが38cmとPK22のためにデザインしたテーブルPK61(テーブル高さ32cm)と比べると若干高めではありますが、組み合わせやすい高さです。

PK61以外でサイドテーブルを考えたとき

PK22の座面の一番低い高さが約27cm、一番高い位置が35cmです。
PK61(テーブル高さ:32cm)から考えると、高さが25cm〜35cm前後のテーブルが使いやすいと思います。

写真はセシリエ・マンツデザインの「Niveau coffee tableΦ45(二ボー・コーヒーテーブル)(フレデリシア)」と合わせています。テーブルの高さ29cmと組み合わせており、PK22のサイドテーブルとして使いやすいです。

Niveau coffee tableは、4サイズあります。高さ違いのテーブルを重ねて並べても美しいです。
天板は厚さ20mmの大理石です。PK61/PK61Aとサイズを比較しました。

スクロールできます
製品名PK61/PK61ANiveau coffee table
Φ45cm
Niveau coffee table
Φ61cm
Niveau coffee table
Φ110cm
高さ32cm29cm/42cm33cm38cm
横幅80cm/120cmΦ45cmΦ61cmΦ110cm
奥行き80cm/120cmΦ45cmΦ61cmΦ110cm
PK61とNiveauテーブル比較

他のPKチェア(PK4・PK20・PK25)との組み合わせ

PKシリーズのラウンジチェアは、すべて座面高さ・大きさが異なります。いずれもサイズは異なりますが、PK22の隣に[PK25]や[PK20]を組み合わせても、統一感があります。[PK20]は背もたれが高い、ヘッドレスト付きチェアです。

参考までに、「PK33(スツール)」のサイズも比較表に記載しました。[PK33]は、他のラウンジチェアと並べても、PK20のフットスツールとしても配置できます。

スクロールできます
製品名PK22PK4PK25PK20
レザー
PK20
PK33
(スツール)
デザイン年1956年1952年1951年1968年1959年
座面高さ35cm38cm40cm37cm34cm
高さ71cm72cm75cm89cm84cm34cm
横幅63cm62.5cm69cm80cmΦ53cm
奥行き63cm74.5cm73cm71cmΦ53cm
PKイージーチェア

耐久性

製品保証が20年(籐は2年間)であることから、耐久性は高いと考えます。究極にシンプルな構造のため、破損するような要素もありません。考えられる寿命としては、レザー・キャンバスの生地の劣化です。レザー・ファブリックは、キャンバス地を張り込み、その上にファブリックまたはレザーを張り仕上げています。長年使った後に生地(レザー・キャンバス)の張替えも可能です。

PKシリーズは、20年の製品保証が適用されます。
ただし、籐・リネンなど、一部商品(PK0・PK60・PK15)を除きます。
以下は、フリッツ・ハンセンの製品保証ページより引用します。

フリッツ・ハンセンでは、スタンダード仕様(プライスリストに掲載の仕様)の家具とスカゲラックコレクションのアウトドアおよびインドア家具の製品を対象に5年間の標準保証を提供しています。保証は素材または製造上の不良があった場合に適用されます。アルネ・ヤコブセンのチェア(アリンコチェア、グランプリチェア、リリー、セブンチェア)には、10年間の保証が適用されます。家具の製品のうち、一部には最大10年の延長保証を提供しています。「マイフリッツ・ハンセン」にて該当する製品をシリアルナンバーとともに登録することで、延長保証が適用されます。製品保証の概要は、以下のリンクからご覧いただけます。

ポール・ケアホルム コレクションの製品には20年間の保証が適用されますが、PK0 A™とPK60™には10年間、PK15™には5年間の保証が適用されます。籐とフレンチケーンには2年間の保証が適用されます。

引用元:フリッツ・ハンセン製品保証

お手入れ

ファブリック・レザー:専用洗剤(ユニタス・ケアキット)で汚れ落としと、コーティングを行います。
レザーとファブリックでは、洗剤が異なります。半年に1回が目安です。

私はファブリックのPK22を使用していますが、半年に1回程度しかお手入れができていません。汚れた場合は、その都度洗剤で部分的に落としています。

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レザーの場合、室内の乾燥によってレザーにシワができたり、手触りが変化したりするため、冬時期にはお手入れ(汚れ落としと保湿)をすることが大切です。特に、直接肌が触れる部分は手の汚れでザラザラとした手触りになりやすいため、ケアキットで洗い、保湿剤を塗ることをおすすめします。

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籐(ラタン):フリッツ・ハンセンのサイトより、引用します。

お手入れとメンテナンス方法

籐製の家具は、湿度の低い場所(セントラルヒーティングの入った部屋など)に置くと乾燥します。乾いた籐は硬くなり、折れやすくなります。乾燥による破損は、保証の対象とはなりません。

クリーニングとシミの除去

籐製の家具の最適なコンディションを維持するためにも、月に一度のお手入れをおすすめします。まずは、湯1リットルにテーブルスプーン2〜3杯分のソープフレークを溶かして石鹸湯を作ります。石鹸湯をスプレーボトルに入れて家具の両面に吹きかけ、籐にしっかり浸透させてください。余分な水気は、湿らせたきれいな布で拭き取ります。

引用元:フリッツ・ハンセン(籐)

PKシリーズのモデルナンバー

フリッツ・ハンセンの製品名は、ポール・ケアホルムのイニシャル「PK」と数字が付与されています。
数字は家具の種類別となっています。(2024年時点)

ポール・ケアホルム 現在製造されているプロダクト
  • PK0-9 チェア
    PK0A チェア(1952年)
    PK1 ダイニングチェア(1955年) ※カール・ハンセン&サン
    PK4 ラウンジチェア(1952年)
    PK8 ダイニングチェア(1978年)
    PK9 ダイニングチェア(1961年)
  • PK10-19 アームレスト付きチェア
    PK11 アームチェア(1957年)
    PK15 木製アームチェア(1979年)
  • PK20-29 ラウンジチェア
    PK20 ラウンジチェア(1967年)
    PK22 ラウンジチェア(1956年)
    PK24 ヘッドレスト付きチェア(寝椅子)(1965年)
    PK25 ラウンジチェア(1951年)
    PK26 モジュールソファ(壁掛けのラウンジソファ)(1956年)
  • PK30-39 アームレスト付きのラウンジチェア
    PK31 ソファ(1958年)
    PK33 3本脚スツール(1958年)
  • PK40-59 テーブル、デスク
    PK40 レザーをテーブルトップに張ったテーブル(1979年)
    PK51/PK55 テーブルトップはウッド(アッシュ材)ベースはステンレステーブル(1957年)
    PK52/PK52A デスク(1955年) ※カール・ハンセン&サン
    PK54/PK54A 大理石、御景石またはファウスケ大理石のテーブルトップのテーブル(1961年)
    PK58 人造大理石(ホワイト)のテーブルトップのテーブル
  • PK60-79 ローテーブル
    PK60 強化ガラストップのテーブル(円形)(1952年) 
    PK61 コーヒーテーブル(1956年)
    PK62 サイドテーブル(1968年)
    PK63 サイドテーブル(1968年)
    PK65 サイドテーブル(1979年)
    PK71 ネストテーブル(1957年)
  • PK80-89 デイベッド、カウチ
    PK80 デイベッド(1957年)
    PK81 デイベッド(PK80の正方形モデル)(1959年)
  • PK91-99 フォールディングスツール、チェア
    PK91 折りたたみスツール(1961年)
  • PK100-119 アクセサリー
    該当なし
  • PPモブラー
    PP106 イージーチェア(Xチェア)(1952年)※PPモブラー
    ヨーゲン・ホイとポール・ケアホルムの共作です。

COLUMN

長年ソファ生活でしたが、長時間座るということに気づき、一人掛けのイージーチェア探しをしました。なかなかピンとくるデザインがなく、ようやく見つけたのがポール・ケアホルムのデザインでした。キレッキレなミニマムなデザインが好きなので、PK22を見つけたときは一目惚れ。ただ、気になったことが、座り心地のこと。PK22はクッション性がないので見るからに疲れそうと思っていました。実際に座ったところ、全く問題なく、むしろ適度な硬さがあるのでソファよりも疲れないことに気づきました。

PK22に座り、外の景色を眺めながらコーヒーを飲む時間が幸せに感じる時間になりました。

補足:ソファも、座ったときに「沈まない」ソファであれば、長時間座れるそうです。例えば、フリッツ・ハンセンのアルファベットソファは、硬めなソファで座り心地が良いです。

スペック

ブランドFRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)
デザイナーPoul Kjærholm(ポール・ケアホルム)

デザイン:1956年

寸法|W630×D630×H710 座面高さ350mm(一番低い座面の高さ約270mm※カタログスペックなし、実機から採寸)
材質|脚:スチール(サテン仕上げ) 座面生地:キャンバス、レザー、籐

参考元:フリッツ・ハンセン PK22(レザー・キャンバス)(籐)

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この記事を書いた人

システムエンジニア(SE)歴20年。
SEならではの仕様調査と実機レビュー(実際に使ってみての使用感)で、論理的にわかりやすい記事作りを心がけています。

家に居ることが大好きで、もっと暮らしやすい空間を作りたいと思い、インテリアを調べていく中で、北欧家具に出会えました。

北欧インテリアブランド(ルイスポールセン、フリッツ・ハンセン、PPモブラーなど)を中心に、本当に良いと思ったモノだけを紹介しています。

好きなデザイナーは、ポール・ケアホルム、セシリエ・マンツ
シンプルなデザインの中に、どこか柔らかさがあるデザインが好きです。

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