セブンチェア(フリッツ・ハンセン)レビュー デザイン:アルネ・ヤコブセン

世界一売れているスタッキングチェア「セブンチェア」は、 1955年アルネ・ヤコブセンのデザインです。
現在セブンチェアは、デザインされた当時のオリジナルである「ベニア」の他に、クッション性のある「フロントパディング」「フルパディング」と全3種類があります。本記事は、「フルパディング」に特化した記事です。

本記事では、使い続けて気づいたこと・商品の選び方・テーブルとチェアの高さ・お手入れ方法をまとめました。
購入した商品は、セブンチェア(3107) フルパディング エッセンシャルレザー(カラー:ラーバ/脚はブラウンブロンズ)です。

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目次

ベニアとパディング仕様の違い

セブンチェアには、3つの仕様があります。長時間座る前提でしたら、フルパディングがおすすめです。ダイニングチェアの用途など、長時間は座らない場合は、安価でお手入れ不要のベニアタイプがおすすめです。見た目に反して、フルパディングのセブンチェアはワークチェアとしても、十分使えるチェアです。

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引用元:MAARKET ベニア仕様

セブンチェアの仕様の違い
  • ベニア:板座
  • フロントパディング:座面側はレザーまたはファブリックの張り地・背面側はベニア
  • フルパディング:全面がレザーまたはファブリックで覆われている

座り心地

「デザインだけで座り心地は良くないもの」と思い込んでいました。 実際に座ってみて驚いたのは、その座り心地が良いことです。

座り心地が良い理由は、成型合板の「しなり」にあります。リプロダクトはしなりにくい構造のため、座り心地に差が出ます。

ベニアタイプと比べると、長時間座る場合はフルパディングの方が疲れにくいです。 私はデスクワークでセブンチェアに長時間座っています。一般的なオフィスチェアと比べ、見た目が重くならず取り回しが良い点からも、ワークチェアとしてもおすすめできます。

フルパディングには、レザーとファブリック(布地)があり、座り心地の差はありませんが、手触りの良さ・手入れの楽さは「レザー」です。
写真左は、デンマークKvadrat(クヴァドラ)社のSunniva(スニバ)のウール生地です。
ファブリック(ウール)もレザーも、夏に蒸れが気になることはありません。ファブリック(ウール)の方が、夏は涼しく感じる気がするくらいで、どちらもあまり変わらないと感じました。
Kvadrat・Sunnivaは、ラフ・シモンズがデザインした生地です。

軽さ・スタッキング

良いダイニングチェアの条件として、「軽さ」があります。ダイニングチェアは常に動くチェアですので、軽さも大事です。セブンチェアは約5.6kg(ベニアは約4kg)と軽量で、片手での引き出しが楽にできるので、取り回しにストレスを感じることがありません。

また、セブンチェアは12脚までスタッキングができます。来客用に積み上げておく、ということもできます。

テーブルとの組み合わせ

セブンチェアの座面高さ(SH:シートハイ)は43cmですので、ダイニングテーブルの高さ(天板までの高さ)が、70cm〜72cmがちょうどよい高さになります。

セブンチェアはSH43cm(日本仕様)/46cm(海外仕様)/48cm(海外仕様)から選ぶこともできます。

テーブルの天板と高さとチェアの座面の高さの差を「差尺」といいます。
差尺=テーブルの天板の高さー座面の高さで求めることができます。
食事での利用に最適な高さ(差尺)は、約25cm〜約30cmが適切な高さとされています。
※あくまで目安です。テーブルの使用目的(デスクワーク、カウンターなど)によっても異なります。

テーブルの高さについて

日本のダイニングテーブルは70cmのものが多く、海外製は平均72cm、75cmの高さもあります。
テーブルの高さは組み合わせの大事な条件になりますので、事前に確認します。

こちらの組み合わせは、ダイニングテーブルのテーブル高さが72.5cmのEN125(マルニ木工)です。
手前のチェアがセブンチェア、奥のチェアはPP68(SH44cm)差尺の計算的には少し高いテーブルですが、問題なく使えています。

EN(セシリエ・マンツのデザイン)>

セブンチェアはSH43cm(日本仕様)/46cm(海外仕様)/48cm(海外仕様)から選ぶこともできます。

耐久性

2023年11月より、セブンチェアは最大10年保証です。 (それ以前に購入した商品は、5年保証)
注:購入後「マイフリッツ・ハンセン」にて該当する製品をシリアルナンバーとともに登録することで、延長保証が適用されます。

フリッツ・ハンセン製品保証(公式サイト)

セブンチェアで考えられる不具合は、①レッグキャップが破れた ②座面が外れた(背面の座面と脚部の接合部分が外れる) の2パターンです。 セブンチェアの他に、同じ構造のアントチェア・リリーも同様です。

耐久性が低いと思われるかもしれませんが、壊れても修理ができること(座面の背面キャップも交換パーツとして販売されています)から、20年30年と使えるチェアですので、満足しています。 20年以上使っても、座面が外れたことはないという話も聞きますので、必ずしも座面が外れるということはないようです。

本国では、商業施設(図書館・飲食店)でも使われていることから、耐久性も問題ないと考えられているのだと思います。

パターン1:レッグキャップが破れた

脚の先の「レッグキャップ」は損耗品であり、保証外です。交換パーツとして販売(1,000円前後)されており、自分で取り替えることができます。写真のレッグキャップは、フェルト付きレッグキャップです。フェルト部分が少しずつ削れます。

パターン2:座面が外れた(座面と脚部の接合部分が外れた)

座面が外れる原因は、座面と脚部がネジと接着剤で取り付けられているからです。
日常的に座っているうちに、ネジが緩んでいくことが考えられるため、年に1回程度ネジが緩んでいないか確認しています。ネジの確認方法は、後述のメンテンナンスに記載しています。
使用頻度・年数によって、接着剤が外れ座面が外れるということは起こり得ますので、修理依頼が必要です。

実物を見たいとき

フリッツ・ハンセンの取り扱いがある正規販売店または、フリッツ・ハンセンのショールームに展示されています。正規販売店の実店舗で、「フルパディング」のセブンチェアを置いている店舗は少ないです。パディング仕様の実物を見たいときには、事前に確認されることを、おすすめします。板座(ベニア)のセブンチェアは、展示されていることが多いです。

フリッツ・ハンセンの正規販売店(フリッツ・ハンセン公式)

オンラインストアのショップでは、レザー・ファブリックの生地サンプルを借用することもできます。生地サンプルで質感は確認できます。 (フリッツのレザーは質感がとても良いです)

カラーとレッグオプションの選び方

セブンチェアはカラー選び・オプションと選択肢が多く、はじめて購入するときに迷いました。
実際に購入してみて、選択肢で迷った項目と選び方のヒントをまとめました。

カラー

テーブルとの組み合わせ、部屋全体を見たときに「ラーバ」はどんな組み合わせでも合わせやすいです。
「ラーバ」と「ライトグレー」は似たカラーですが、ラーバはグレーに紫が入ったようなカラーです。 

モノトーンコーデが好きな方には、「ブラック×クローム」がオススメです。
この組み合わせはイメージ通りで、間違いない組み合わせです。

レッグの仕上げ

クロームメッキまたは、マットな塗装仕上げ(5色)の選択ができます。
写真は「ブラウンブロンズ」です。照明や明るさによって「ブラック」にも見えるカラーで、よく見ると「ブラウン」が入っているカラーとなっています。自然光ですと、「ブラウンブロンズ」らしいカラーに見えます。
クロームメッキは、数年お手入れをしないと錆が出ることがあります。 塗装仕上げは、お手入れ不要です。

脚キャップのフェルト有無

フェルト有り

フローリングの上でチェアを使用する場合、フェルト有りがオススメです。滑りがよく、床を傷つけません。
ラグの上でチェアを使用する場合は、フェルト無しの方がオススメです。(ラグの上で、フェルトキャップ「有り」も試しに使ってみましたが、あまり変わらなかったです。)

購入後に「フェルトなし(または、フェルト有り)」に替えることもできます。購入後にラグの上で使いたいとなり、キャップを交換しました。(キャップを外すには、ペンチが必要です)

納期について

売れ筋の商品は国内在庫があり、2週間〜3週間程度で納品可能な商品もあります。
国内在庫がない場合は、本国から取り寄せとなり4〜5ヶ月待ちになります。即納品できないことが多いので、注意が必要です。

お手入れ

座面(目安:半年に1回)

ベニア(板座):定期的なお手入れは不要です。汚れている部分は拭き取ればOKです。

ユニタス・ケアキット(ファブリック用)

ファブリック・レザー:専用洗剤ユニタス・ケアキットのクリーナーで汚れ落としと、プロテクションクリームを定期的に塗る(ファブリックは「プロテクションスプレー」)ことでしっとり感がキープでき、汚れも付きにくくなります。ファブリックとレザーでは、洗剤は異なります。(同じユニタスシリーズから販売されています)

特にレザーは生地が乾燥してしまうので、定期的にお手入れが必要です。私はレザーは半年に1回を目安に、お手入れしています。お手入れは10分程度で終わり、最低半日は乾かすという流れです。

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脚部(目安:半年に1回)

クロームメッキ(無塗装):錆取りクリーム(ピカール)で1年に2回ほど拭いてもらえば錆止めになります。
錆は一度発生すると取れないこともあるため、定期的なお手入れが推奨です。
カラー粉体塗装:お手入れ不要です。

座面と脚部のネジ締め(目安:年に1回)

1年に1回程度、ネジの緩みがないかチェックすると長持ちするそうです。

準備するもの
  • 柄の長いマイナスドライバー
  • トルクスドライバーT-30
    注)セブンチェアの製造年によって、ネジの種類は異なります。
    座面カバーを開け、ネジの種類を確認した上で購入することをオススメします。
  1. 座面裏のカバーをマイナスドライバーで取り外す
  2. ドライバーで緩んだネジを締め直す
  3. 座面裏のカバーを元に戻す
座面裏のカバーを外した状態です。ネジは「トルクスネジ」でした。

製造年によって、ネジの種類は異なります。

今回使用した物です。マイナスドライバー、トルクスドライバー(T-30)

脚キャップ

消耗品なので脚キャップが損傷している場合は、取り替えます。脚キャップは、販売店から購入ができます。(4点で1,000円前後)

脚キャップを取り外す方法:取り外す脚キャップに布をかぶせ、ペンチで外します。(力強く引っ張らないと外せません)

セブンチェアと引っ越し:宅配便で発送する

私は通常引っ越しでは、引っ越し業者は利用せず、宅配便を使い引っ越しすることが多いです。家具の場合は、ヤマト運輸の「らくらく家財宅急便」を利用することが多いですが、セブンチェアは通常の宅配便(佐川急便)で発送しました。サイズが大型のため、ヤマト運輸では発送できず、佐川急便を利用しました。

セブンチェアは軽く、スタッキングもできる、ということから、2脚スタッキングした状態で、通常の宅配便で発送しました。購入した時の段ボールを保管していたので、段ボールは購入していません。今後も引っ越しする際も、同様に宅配便を利用する予定です。

購入時は4脚をまとめて購入した際にも2脚スタッキングした状態で届きましたので、自己責任となりますが、丁寧に梱包すれば、スタッキングしての運送は問題ないと考えています。

アームチェア・キャスター付きのセブンチェア

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引用元:MAARKET

セブンチェアは、アームが付いたチェアとキャスター付きのチェアもあります。

アームチェアとアームなしのチェアでは座り心地が全く異なります。別物です。
アームチェアは座面角度が異なり(脚の付き方も違います)、アームチェアの方がリラックスして座れます。

キャスター付きは、高さ調整・回転ができます。アームチェアにキャスターが付いたチェアと、アームなしでキャスターが付いたチェアの2種類あります。

セブンチェアをワークチェアとして使う

キャスターなしのセブンチェアをワークチェアとして座っています。
一般的なワークチェアに比べ、見た目もワークチェアっぽくなく、長時間座っても疲れず、軽量で、ダイニングチェアとしても使えるので大満足です。

スペック

ブランドFRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)
デザイナーARNE JACOBSEN(アルネ・ヤコブセン)

デザイン:1955年

寸法|W500mm×D520mm×H790mm
   座面の高さ:430mm / 460mm / 480mm(選択可能)
重量|約5kg(フルパディング)
備考|12脚までスタッキング可能

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この記事を書いた人

システムエンジニア(SE)歴20年。
SEならではの仕様調査と実機レビュー(実際に使ってみての使用感)で、論理的にわかりやすい記事作りを心がけています。

家に居ることが大好きで、もっと暮らしやすい空間を作りたいと思い、インテリアを調べていく中で、北欧家具に出会えました。

北欧インテリアブランド(ルイスポールセン、フリッツ・ハンセン、PPモブラーなど)を中心に、本当に良いと思ったモノだけを紹介しています。

好きなデザイナーは、ポール・ケアホルム、セシリエ・マンツ
シンプルなデザインの中に、どこか柔らかさがあるデザインが好きです。

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